わたし解放ジャーナル

安全なワークで感情の奥にある価値観を探求する

Tags: 感情探求, 価値観, 自己理解, ジャーナリング, 内省

感情と価値観の繋がりを探求する意義

私たちは日々様々な感情を経験します。喜び、怒り、悲しみ、不安など、感情は私たちの内面の状態や外界への反応を示す大切なサインです。これらの感情は時に複雑で、どのように扱えば良いのか戸惑うこともあるかもしれません。特に、強く動かされた感情や繰り返し現れる感情の背景には、私たちが大切にしていること、つまり「価値観」が隠されている場合があります。

価値観とは、私たちが人生や物事に対して「こうありたい」「こうであるべきだ」と信じる、根源的な判断基準や信念のことです。感情が動くとき、それは多くの場合、私たちの価値観が満たされたり、逆に侵害されたりしているサインとして現れます。例えば、公平さが価値観である人は、不公平な状況に対して怒りを感じやすいかもしれませんし、自由が価値観である人は、束縛される状況に抵抗を感じやすいかもしれません。

感情と価値観の繋がりを探求することは、単に感情を理解するだけでなく、自分自身が何を大切にしているのか、何によって心が動かされるのかを知る深い自己理解へと繋がります。この理解は、今後の人生における意思決定や行動選択において、より自分らしい、より満たされる方向へと導いてくれる羅針盤となり得ます。

この記事では、安全な方法で感情と価値観の繋がりを探求するための具体的なワークをご紹介します。感情という入り口から、自分の内側にある大切な価値観に気づくプロセスを体験してみましょう。

感情のサインから価値観を見つけるジャーナリングワーク

このワークは、特定の感情に注目し、その感情がどのような価値観に紐づいているかを、書くことを通して探求する方法です。

ワークの手順

  1. 静かで安全な場所を選ぶ: 誰にも邪魔されず、リラックスできる時間と場所を確保します。ノートとペン、またはPCなど、書き留めるためのツールを用意してください。
  2. 探求したい感情を一つ選ぶ: 最近強く感じた感情、あるいは繰り返し現れる感情など、今最も関心のある感情を一つ選びます。例えば、「最近よくイライラする」「なぜかいつも不安を感じる」といった具体的な感情の動きに焦点を当てます。
  3. その感情が生まれた状況を具体的に記述する: 選んだ感情をどのような状況で感じたかを、できるだけ詳細に書き出します。場所、時間、関わっていた人、そのとき起こっていた出来事などを具体的に描写します。例えば、「職場で、自分の意見が聞き入れてもらえなかった時に、強い苛立ちを感じた」といったように書きます。
  4. 感情の背後にある問いかけを行う: 記述した状況と感情を見ながら、以下の問いかけを自分自身に投げかけ、浮かんだことを自由に書き出していきます。
    • この感情(例:苛立ち)は、私に何を伝えようとしているのだろうか?
    • この状況で、私は何が「大切にされてない」と感じたのだろうか?
    • もしこの感情が、私が大切にしている何か(価値観)が満たされていないサインだとしたら、それは何だろうか?
    • 逆に、この感情の反対側の状況で、私は何が満たされていると感じるだろうか?その満たされているものは、どのような価値観と関係があるだろうか?
    • この感情を感じる状況において、私が本当に求めていることは何だろうか?
  5. 浮かんだ価値観のキーワードを特定する: 書き出した内容の中から、自分にとって重要だと思われる「価値観」に関連するキーワードを探します。例えば、「意見を聞いてもらえない」状況での苛立ちからは、「尊重」「公平」「対等」といった価値観が浮かび上がるかもしれません。求めていることから「理解」「貢献」といった価値観が見つかるかもしれません。
  6. 気づきをまとめる: ワーク全体を通して気づいたこと、感情と価値観の繋がりについてどのように理解が深まったかを簡単にまとめます。

なぜこのワークが有効なのか(背景と論理性)

ジャーナリングは、思考や感情を視覚化し、客観的に捉えることを助けます。特に、感情が動いた具体的な状況と、それに対する内的な反応を書き出すことで、感情の引き金やパターンが見えやすくなります。さらに、一歩踏み込んで「なぜその感情が生まれたのか?」「その背後には何があるのか?」と問いかけることで、表面的な感情の下に隠れている深層的なニーズや価値観に光を当てることができます。

感情を単なる「嫌なもの」として避けたり抑え込んだりするのではなく、「内側からのメッセージ」として捉え、そのメッセージが何を指し示しているのかを論理的に探求するプロセスが、このワークの核となります。感情は価値観のバロメーターであり、このバロメーターを読む練習をすることで、自分自身との関係性を深めることができます。

価値観リストから感情のトリガーを理解するワーク

このワークは、あらかじめ様々な価値観のリストを参照することで、自分がどのような価値観を大切にしているのか、そしてその価値観が感情にどのように影響しているのかを探る方法です。

ワークの手順

  1. 価値観リストを用意する: 以下の例のような価値観リストを参考に、自分にとってピンとくる言葉を集めたリストを作成します。インターネット上にも様々な価値観リストがありますので、それらを活用するのも良いでしょう。
    • (価値観リストの例)
      • 愛情、冒険、安心、美、貢献、創造性、成長、公平、自由、健康、正直、独立、学び、平和、力、信頼、責任、尊敬、誠実、調和、受容、勇気、友情、家族、富、精神性、知恵、ユーモア、etc...
  2. 最近強く感じた感情を一つ選ぶ: 前のワークと同様に、探求したい感情を一つ選びます。
  3. その感情を感じた具体的な状況を思い出す: その感情が動いた状況を再び詳細に思い出します。
  4. 価値観リストと状況を照らし合わせる: 用意した価値観リストを見ながら、その状況において、どの価値観が満たされた(あるいは侵害された、脅かされた)可能性があるかを検討します。例えば、同僚の成果に対して羨ましいという感情を抱いた場合、リストの中から「達成」「 riconoscimento」「成功」といった価値観に目が留まるかもしれません。
  5. 感情と価値観の繋がりを記述する: どのような価値観が、その感情の発生に関係しているかを書き出します。複数の価値観が関わっていることもあります。例えば、「同僚の成果を羨ましく感じたのは、『達成』という価値観が自分の中で強くあり、その時自分は思うような達成感を得られていなかったためかもしれない」といったように記述します。
  6. 気づきをまとめる: このワークを通して得られた気づき、特定の感情がどのような価値観と結びついているかについての理解をまとめます。

なぜこのワークが有効なのか(背景と論理性)

私たちは普段、自分がどのような価値観を大切にしているのかを意識することは少ないかもしれません。しかし、価値観は私たちの行動や感情の根源に深く関わっています。価値観リストを参照することで、無意識のうちに重要視している事柄が言語化され、気づきが得られやすくなります。

感情が動いた状況と価値観リストを照らし合わせるプロセスは、感情を特定のトリガー(ここでは価値観の充足や侵害)と結びつけて理解することを可能にします。これは、感情的な反応のパターンを論理的に分析し、その原因を探る手助けとなります。自分が何を大切にしているかが明確になれば、特定の状況でなぜそのような感情が生まれるのかが腑に落ちやすくなり、感情に振り回されるのではなく、より冷静に対処するための足がかりを得られます。

実践上の注意点と補足

まとめ

感情は、私たちが大切にしている価値観が満たされているか、あるいは侵害されているかを示す、パワフルなメッセージです。感情と価値観の繋がりを探求するワークは、このメッセージを読み解き、自己理解を深めるための具体的なツールとなります。

今回ご紹介したジャーナリングワークや価値観リストを使ったワークを通じて、ご自身の感情の背景にある大切な価値観に気づくことで、感情への見方が変わり、より意図的に、そして自分らしく人生を歩むための新たな視点を得られるかもしれません。安全な場所で、ご自身の内側と優しく対話する時間を持ってみてください。